基本的に転職となると、即戦力を期待されるため募集要項にも『経験者優遇』とあるのが一般的です。

しかし、それでは経理関係に転職したい人は一生転職できないことになります。

ここでは私の経験を通して、経理未経験者の経理関係への転職ステップを紹介します。

1.職業訓練校(ポリテクセンター)に行く

私は20代のころは昔ながらのシティホテルで、レストランのホールやフロントのチェックイン業務などをしていました。

しかし、拘束時間のわりに給料が少ないことや、昔ながらの非合理的な仕事内容にストレスを感じるようになってきました。

会社の経営の失敗によって、ボーナスが支給されなかったこともあり、経営陣に対して従業員の不満は高まっていきました。

従業員の間では会社への愚痴や不満が横行していましたが、私にはどれも感情論に聞こえ、実際に何がいけないのか、会社の業績がどういう状況なのか、に次第に興味を持つようになりました。

年度末には経理担当が、決算の収支を発表していましたが、従業員は誰も経理関係の知識がなかったのでみんな聞き流していました。私も同じくチンプンカンプンでした。

この状況に人知れず危機感を感じた私は、「この先どこで働くにしても、経理分野の知識がないと、会社に都合よく使われる人生になるのではないか」と思うようになりました。

そもそも私は性格が合理的な指向があり、いくら給料をもらえるとはいえ、非効率な作業をさせられると人よりも強いストレスを感じるタイプです。

そこで私は思い切って経理関係の仕事に転職し、企業の業績や財務状況を身近に把握できる立場になりたいと思いました。

やめた当時はもう29歳でしたが、独身で守るものもない状況でしたので、思い切ってホテルを退職し、地元の経理関係の求人を探してみました(今考えると怖いもの知らずでしたね)。

しかし求人情報を見ると、どこの会社も『経験者優遇』であり、経理も1人か2人で回しているような中小企業がほとんどでした。

そして何より私に欠けていたのは、簿記の知識でした。私は簿記が何なのかも知らずに、一企業の経理に転職しようとしていたのです。

私はいったん就職活動をあきらめ、経理の求人によく必須資格とされている『日商簿記2級』を取得することにしました。

そして1か月半後にある「日商簿記検定」で、3級と2級の同時合格を目標に独学での勉強をスタートさせました。

失業保険を受給しながら、家でコツコツ検定の勉強を続け、1か月半後何とか受験にこぎつけましたが、3級には合格したものの2級は不合格でした( ;∀;)

もう失業保険の受給期間も終わるし、お先真っ暗状態になってしまいました。

そんなある日、知人に教えてもらったのが職業訓練校(ポリテクセンター)の存在でした。

調べると入校には面接が必要でしたが、合格すると卒業まで失業保険の受給が延長されます(しかも登下校の交通費付き!)。

しかもラッキーなことに、私が受験した職業訓練校には当時『経理・総務コース』がありました。

面接では何とか情熱を伝え、結果的に無事に合格できました。

これにより昼は経理・総務分野の勉強をしながら、夜は日商簿記2級の勉強をする時間を稼ぐことができました。

税理士事務所に転職する

職業訓練校に通いながら、無事に日商簿記2級を獲得した私は、卒業1か月前から解禁になる就職活動に突入しました。

早速何社かの経理の求人に応募してみましたが、やはり実務経験がないせいか、郵送した履歴書は返却されてきました。

私自身も全く経理の経験がない中で、いきなり実務に飛び込んでいくには正直不安がありました。

そこで考え方を変え、『税理士事務所』への就職を目指すことにしました。

私は経理関係の勉強をするうちに、会社が経理や決算をするなかで『税理士事務所』が深く関わってくることを知りました。

しかも『「税理士試験合格を目標にしている」やる気のある人』であれば、税理士事務所なら未経験でも採用してもらえるのではないかと考えました。

そこで、求人が出ていたいくつかの税理士事務所に履歴書を送りました。

結果として私はある税理士事務所に採用が決まりました。当時もう31歳になっていました。

税理士事務所から経理職へ

税理士事務所は複数の法人・個人事業者と顧問契約を結び、日常の経理指導や決算・確定申告の代行業務を行います。

私の場合、採用されるとほどなくして数社の担当を任されました。

最初は右も左もわからない状態でしたが、先輩方に教わりながらガムシャラにがんばりました。

税理士事務所はいろんな業種の企業の決算や記帳代行を担当するため、様々な会社の経理方法が勉強できます。

また税務にも詳しくなるので、節税なども視野に入れた経営方法に身近に触れるようになります。

そして何より大きなメリットは、顧問先の社長さんたちと対等に話ができることでした。

ホテル時代は自分の会社の社長でさえ、まともに相手にしてもらえませんでしたが、税理士事務所の人間というだけで経営者の人たちの多くはある程度のリスペクトを持って対応してくれます。

私自身も経営者の人たちの生の声を聴くことで、これまでたくさんの勉強をさせていただきました。

結果として今でも税理士事務所の職員としてがんばっていますが、今ではいろんな会社の経理の方に指導をさせていただく立場にまでなりました。

私の勤める税理士事務所では、給与もある程度ステップアップできたので、経理関係への転職を考えることは今のところありませんが、税理士事務所の職員は、一般企業の経理を熟知していると考えられていますので、経理への転職のハードルはそんなに高くないと思います。

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