税理士には2種類の資格取得方法がある
税理士には資格取得の方法が2通りあり、①税理士試験を合格する方法と、②税務署に約20年以上勤務してから自動的に税理士資格を取得する方法があります。①の場合、独学や専門のスクールに通いながら勉強することになりますが、その間は税理士事務所に勤務している人もいれば、フリーターなどまったく税務に携わらないで資格取得を目指す人もいます。
②の税務署OBの税理士は、その多くが税務署を定年退職後に税理士登録をするケースが多く、登録時点で60歳以上になっているケースがほとんどです。
そのため①の税理士試験を合格して税理士登録をした人たちのほうが、②のケースよりも若い人が多い印象です。
そもそも普通の人が税金の確定申告を行うことがむずかしいため、税務署などを定年退職された方々が税務署内で申告書の記入や税務相談などを請け負うようになったのが税理士の起源だそうです。その後、一般の人たちにも税理士登録の門戸を開くため、税理士試験制度が誕生しました。
そのため税務調査の対応などは、やはり税務署内の事情をある程度把握している税務署OB税理士のほうが、有利に税務署側と交渉できるようです。
税理士事務所には『マルチ税目対応型』と『税目特化型』がある
税理士事務所と一言で言っても、その規模はそれぞれです。税理士が一人のみで運営している事務所もあれば、税理士一人と数人の職員、あるいは複数の税理士が所属し、職員も数十人規模の大きなところもあります。複数の税理士が所属しているような事務所は、たいてい税理士法人として法人化されています。
また税理士事務所が扱う税目は、基本的に「法人税」「所得税」「消費税」「相続税(贈与税)」となります。規模が小さい事務所では、一人の職員が個人事業者や法人の担当を任されるため、「所得税」や「法人税」など複数税目の申告書作成などのマルチな対応が求められます。こうした『マルチ税目対応型』の事務所では、複数税目の知識が必要となりますが、その分一つの税目に対する知識が浅くなりがちです。
一方で規模が大きい税理士法人などでは、税務署と同じく税目ごとに設置された部署に職員が配置され、配属先に応じた顧問先の対応をすることになります。こうした『税目特化型』の事務所の場合、例えば法人税専門の部署に配属された場合、法人税に特化した知識が求められます。他方でほかの税目に対する知識が希薄になりやすく、個人事業者の法人成りや顧問先の相続対策などイレギュラーな案件に対応できないなどのデメリットも考えられます。
税務署OB税理士の事務所では不定期的に退職の危機にさらされる
※ここでは「税理士が1人+複数の一般職員」で構成される税理士事務所を前提に記述しております。
税務署OB税理士が高齢などを理由に税理士業を引退する際は、そもそも税務署というところは縦の関係が非常に強い組織なので、税務署時代の後輩税理士などに事務所を譲るケースがほとんどです。譲り受けた後輩税理士も、税務署を定年退職して60歳を超えているケースが多いので、結果的に10年~15年ほどで税理士が入れ替わることになります。
そうなると、その下で働く職員たちは不定期に退職と再雇用を繰り返すことになります。場合によっては、引き受ける税理士がなかなか見つからないなど不測の自体に陥る可能性もあります。また事務所を引き受ける税理士が見つかっても、それまでの雇用条件を継続してくれる保証もありません。
自分が頑張って税理士試験を突破して資格取得できれば、このような事態は回避できますが、合格率を考えるとそう容易ではありません。税務署OB税理士の事務所に勤務することは、このようなリスクが伴うことに注意が必要です。